精神医学 (4年生対象,必須)
精神疾患の頻度は高く,精神科に限らず多くの医療場面で遭遇することが多いものです.またその特徴は,生物学的な中枢神経系機能の障害の特性を有する点と,個人を取り巻く心理・社会的要素が環境因子としてその病態や症状の現れに影響するという点にあります.したがって,生物・心理・社会という多面的なとらえ方が,精神疾患の理解においては重要です.
精神医学講義においてもこの点に留意して,精神症状の把握・評価,検査,薬物療法を中心とした身体的治療,精神療法(心理社会的治療),精神疾患の成因論といった総論的内容と,身体により基礎付けられた(生物学的な)精神疾患から心理社会的側面の強い精神疾患に至るまで,児童期から老年期の各ライフステージを踏まえて,各論的内容について説明できるようになることを目標とします.さらに,社会の中における精神疾患・精神医学という観点から,司法的側面や研究における倫理的側面についても論じます.
詳細は,名古屋大学医学部(医学科)教科案内 SYLLABUSの各年度をご参照ください.
精神科臨床実習I (5年生対象,必須)
当科臨床実習Iは大学病院で行います.患者との医療面接を実践する外来実習,病棟実習を行います.これらを通じて,精神科的医療面接,および精神疾患の診断と初期治療の概要について説明できるようになることを目指します.
臨床実習
- 実習に入る前に精神医学講義,特に医療面接の講義を十分復習しておく.
- 初日の午前中(またはそれ以前)に,実習のオリエンテーションを行なう.
- 毎日,午前中には,外来で新患自身ならびにその付き添い者(家族など)へ予診(診察前情報収集)を行うことで医療面接の実際を体験し,そのケースについて診断と初期治療を見学することで精神科的な面接所見の取り方や診断の実際を学ぶ.
- 午後は病棟実習で,教員が行う診察や教授回診,ケースカンファレンス,文献検討等に充てられる.
- 最終日の午後には,まとめとして,予診をとった症例のプレゼンテーションを行い,それに基づき質疑応答する.
- 実習期間中,必要時にミニレクチュアが行われる.
精神科臨床実習II (6年生対象,選択)
大学病院での実習期間と学外の精神科病院(愛知県精神医療センター)での実習期間を作り,それぞれの期間に,指導医の指導を受けつつ,入院患者さんの主治医チームに加わり,診察を行い,その内容について討議すると共に,病棟行事への参加を通して入院治療の概要を理解します.また,児童外来の初診患者さんの予診聴取,診察見学,ならびに再来患者さんの診察見学を行い,討議することにより,児童精神医学的な外来診療の実際を学びます.さらに当科と他科間の院内リエゾン活動や,他院(精神科専門病院)の活動を知るとともに,文献で知見を深めることを実際に体験して精神医学領域の文献に対するリテラシーを高めていきます.これらを通じて,現代の精神医療の概要を説明できるようになることを目標としています.
臨床実習
- 当科の入院患者 2名を指導医とともに担当する.指導医の指導の下に,面接をして,病歴,家族歴,生活歴などを聞いて,治療についても考える.週2回の定期的面接と毎日の病棟回診を行う.週に 2回は指導医と相談して指導を受ける時間を設定する.指導医にはその時間以外にも適宜こまめに相談し,指導を受ける.指導医以外の教員・専攻医などからも積極的に指導を受ける.
- 病棟の行事に参加し,担当以外の患者や,看護師,公認心理師,作業療法士,精神保健福祉士,遺伝カウンセラーとも交流する.
- 児童外来初診患者(新患)の予診・診察見学,討議をする.また,再来患者の診察見学,討議をする.
- 当科・他科間で行っているいくつかの院内リエゾン活動について,カンファレンスに陪席し具体的な進め方を知る.
- 各人の問題意識や関心領域に則した英文総説を読み,その内容をまとめてPower Pointによりスライドを作成し,プレゼンテーションを行う.
- 精神科医局の症例検討会や研究会(学外で行われる場合もあり,その都度知らせる)その他に参加する.なお,実習期間中に研究の実際に触れたい場合は,池田まで連絡する.
- 学外の基幹的な精神科病院(愛知県精神医療センター)で実習を行う(3日間程度).患者の主治医に加えてもらい,学外病院の指導医の指導の下で面接と毎日の回診をする.病棟行事その他にも参加する.
- 以上の経験について報告書を作成し,指導医に報告し,それについて討議する.