研修プログラムの特徴
児童期から老年期まで多くの疾患に対するエキスパートが在籍し,その点を活かしながら研究,臨床,教育を実践しています.この利点は,新たな精神科医を育てるための研修プログラムの充実にも繋がり,系統的なレクチャーや,指導医の指導のもとで,豊富な外来・入院症例を経験することに繋がります.より良い精神科医を育てることは,今後の名古屋市,愛知県,日本において非常に重要なことであり,特に力を入れています.
精神科・児童精神科専門研修プログラム
名古屋大学精神科・児童精神科専門研修プログラム(以下,本研修プログラム)は,専門研修基幹施設(以下,基幹施設)である名古屋大学医学部附属病院精神科・親と子どもの心療科で行われる2年間の前期大学病院研修と,専門研修連携施設(以下,連携施設)である公的精神科病院・一般病院・民間精神科病院で行われる3年目以降の後期連携施設研修を基本としています(図1).基幹施設も含めた施設数は合計43施設と,本研修プログラムは全国でも有数の規模を誇るだけでなく,連携施設には公的精神科病院3施設,精神保健機関1施設,一般病院精神科・心療科・児童精神科11施設,民間精神科病院26施設,大学病院2施設が含まれ,それぞれ特色ある施設で研修可能な体制となっています.さらには,専門研修指導医も,基幹施設に15名前後,連携施設全体に100名前後(按分後)が配置されています.よって,本研修プログラムで研修を行う専攻医は,児童青年期から成人,高齢者まで多様なライフステージにおける,全ての精神疾患について,コンサルテーション・リエゾン精神医学を含むさまざまな領域の精神科医療・精神保健を経験することが可能です.
前期大学病院研修中には,指導医と主治医グループとして診療にあたるだけでなく,多職種とのチーム医療を実践します.当科においては,抑うつ障害,双極性障害,不安症,統合失調症,摂食障害,認知症,パーソナリティ障害,睡眠障害,自閉スペクトラム症,注意欠如・多動症等の精神疾患について,診断および治療を学ぶことができます.また,コンサルテーション・リエゾン精神医学の経験を多く積むこともできます.それだけでなく,多様な専門性を有する精神科専門医・指導医(15名前後),精神医学研究者による,専攻医向けセミナー,研究遂行に必要なノウハウを学ぶセミナーなど多様で充実した教育機会を計画的に実施しています(図2).また,前期大学病院研修中,週1.5〜2日は連携公的・民間精神科病院での研修も行うので,精神科病院での地域医療などについて,初年度から積極的に学んでいただくことができます.
後期連携施設研修では,連携公的精神科病院2施設・民間精神科病院25施設を中心とした研修を行います.これらの施設は全て病床を持ち,閉鎖病棟や隔離室などの設備も備えています.3年目専攻医は,これらの施設の常勤医として,各施設の指導医の指導のもと,精神科救急症例,行動制限症例,地域医療症例を中心に臨床経験を積みます.各施設は地域の精神科医療において中心的な役割を担っていますので,地域医療を経験することができます.また,専攻医が希望する場合,基幹大学病院に加え,一般病院5施設,児童精神科4施設,公的精神科病院1施設,精神保健機関1施設,民間精神科病院1施設といった多様なタイプの連携施設での研修を同時に受けることも可能です.なお,研修施設として連携公的精神科病院への赴任を優先いただいていますが,その候補者(年数名程度)の選定は専攻医の希望を尊重しています.また,連携民間精神科病院の選択の際にも専攻医の希望が尊重され,専攻医同士で希望が重複した場合などに調整を行うことはありますが,当科から研修施設を指定することはありません.
医師(専攻医)は本研修プログラムへの採用後,研修施設群のいずれかの施設と雇用契約を結ぶこととなります.
本研修プログラムは,年度により適宜,修正・変更があることを予めご承知おきください.
専門研修終了後の進路
教室員により構成される人事委員会が公開の原則に基づき公募するポストに対して,個人の判断・責任で主体的に応募し赴任するため,大学医局が何らかの方向づけを行う,いわゆる「医局人事」は存在しません.
現在,精神科医・児童精神科医に対する社会的ニーズは高く,国公立精神科病院・私立精神科病院,総合病院精神科,精神科クリニック,保健所や児童相談所,発育相談,障害児療育施設,教育現場相談業務,企業内メンタルヘルス相談業務など,広範な臨床,相談業務場面で求められています.実際,当医局には愛知県を中心に多数の関連病院,施設があり,選択肢は豊富です.
当医局は,児童・思春期から老年期までの患者に対して,多様なアプローチを実践している,多彩な精神科専門医・認定医や精神医学研究者が在籍し,その点を活かしたサブスペシャリティ研修,各個人の興味や関心に基づいた様々な学会の認定専門医や指導医の資格も取得可能です.
また,大学等の教育施設や内外の研究施設から研究者や教育者に関する依頼も数多く寄せられており,研究・教育者の途に進むものも多数います.大学院進学(社会人大学院を含む),海外留学も可能です.
子どものこころ専門研修プログラム
名古屋大学精神科・親と子どもの心療科・小児科 関連研修施設群 子どものこころ専門研修プログラム(以下,本研修プログラム)は,基幹施設である名古屋大学病院精神科・親と子どもの心療科,および連携施設(総合病院,児童思春期病棟・外来をもつ精神科病院,小児病院,療育機関,診療所)での研修からなります(図1, 2).
基幹施設,連携施設合わせて21名の常勤の子どものこころの専門医が在籍しています.専攻医のこれまでの臨床経験に応じ,柔軟にプログラムを組むことが可能です(図3).名古屋大学小児科と精神科・親と子どもの心療科(児童精神科)が連携してプログラムを運営していることが特徴であり,精神科専門医取得後(取得見込み含)だけでなく,小児科専門医取得後(取得見込み含)の医師の研修も受け入れています.子どものこころの専門研修と並行して,大学院での研究(臨床研究,生物学的研究など)を行うことも可能です.
全ての研修施設は愛知県内に位置します.どの施設で研修を行うかについては,専攻医のこれまでの経験と今後の進路を踏まえた希望が優先されますが,可能な限り,児童精神科での入院治療を経験できる施設が含まれることが望まれます.
本研修プログラムは,年度により適宜,修正・変更があることを予めご承知おきください.
募集定員
5名程度
採用判定方法
研修プログラム研修管理委員,研修基幹施設職員等による面接を行います.
連絡方法
夏頃に研修説明会を行い,その後,研修希望者を対象とした面接を行う予定です.それまでに加藤までご連絡いただき,連絡先等をお伝え下さい.
問い合わせの連絡先
名古屋大学医学部附属病院親と子どもの心療科 加藤秀一
メールアドレス
取得可能な専門資格
精神保健指定医の取得について
本人の意思によらない入院や行動制限を行うためには,精神保健福祉法に定められた資格が必要です.精神保健指定医の資格を取得するためには,措置入院症例1例を含む一定の症例の治療経験が必要です.大学病院では措置入院症例の経験は事実上不可能ですが,後半2年の関連研修病院において,必要な症例を経験することができます.
- 日本精神神経学会精神科専門医
- 日本臨床精神神経薬理学会専門医
- 日本睡眠学会総合専門医
- 日本総合病院精神医学会専門医
- 日本老年精神医学会認定医
- 日本認知症学会専門医
- 日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医
- 日本精神分析学会精神療法医・心理療法士認定
- 子どものこころ専門医機構 子どものこころ専門医
など
研修に関するお問い合わせ
7月初旬から2回程度、入局説明会を行い,その後,入局希望者を対象とした選考面談を行います.いずれも,日時が決まり次第,ホームページの「名古屋大学精神医学お知らせ」のページでお知らせします.お知らせ掲載後,連絡フォームから登録いただき,連絡先等をお伝え下さい.
連絡先:E-MAIL
件名:施設見学,研修プログラムなど
メール本文に,現在の所属,お名前,連絡先のe-mail,その他(見学・相談の場合は希望する日程・時間もご記入ください)をご記載ください.